• 2014-01-05

(2009年2月に「高校生のための『超』教養講座」において、公開を始めた人気授業です)

花粉症は人の進化と文明の病
~ダーウィン医学にみる人間と病気の不思議な関係

北海道大学理学部 教授 栃内 新

1951年生まれ。北海道大学大学院修了後、同大学講師を経て、理学研究院准教授。2011年4月、教授に就任。専門は動物発生学、免疫学、進化学で、『新しい高校生物の教科書』などの著書を持つ。なかでも『進化から見た病気』は、ダーウィン医学の入門書として高く評価されている。

花粉が舞い飛ぶ春を、憂鬱な気持ちで迎える人も多いことでしょう。いまや、日本人の3割以上の人が花粉症に悩まされているともいわれています。その花粉症、スギ花粉の増加など環境の変化が大きいのですが、人間の進化も大きくかかわっていることがわかってきました。私たちは進化の過程で免疫という優れた防御機能を身につけのですが、それが利きすぎた状態が花粉症なのです。ダーウィン医学は、こうした進化と病気の不思議な関係を探る学問。人の体に起こる不都合を、進化という視点から捉えなおすことで、さまざまな新しい発見をもたらしました。将来の治療法開発につながると期待が高まっています。

第1章 地球の誕生と生物の進化

第2章 脊椎動物の獲得免疫システム

第3章 ヒトとウイルスの生存競争

第4章 なぜ、ヒトは花粉症になるのか