「超教養講座」アーカイブ
越境物質「黄砂」が運ぶもの」
~砂漠からの旅人は“悪者”なのか?
福岡大学理学部 教授 林 政彦
黄砂は大陸の砂が風で巻き上げられ、日本まで飛んでくる現象です。「洗濯物が黄砂でダメになった」など一般には“やっかい者”とされており、近年では、花粉症の症状をひどくするなどともいわれています。その一方で、「中国大陸で発生した汚染物質を黄砂が中和して被害を抑えている」、また「黄砂は地球の温暖化を抑える働きをしている可能性もある」といった研究もされています。このような黄砂に関する最新の研究成果を福岡大学の林政彦先生に解説してもらいましょう。
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花粉症は人の進化と文明の病
~ダーウィン医学にみる人間と病気の不思議な関係
北海道大学理学部 教授 栃内 新
花粉が舞い飛ぶ春を、憂鬱な気持ちで迎える人も多いことでしょう。いまや、日本人の3割以上の人が花粉症に悩まされているともいわれています。その花粉症、スギ花粉の増加など環境の変化が大きいのですが、人間の進化も大きくかかわっていることがわかってきました。私たちは進化の過程で免疫という優れた防御機能を身につけのですが、それが利きすぎた状態が花粉症なのです。ダーウィン医学は、こうした進化と病気の不思議な関係を探る学問。人の体に起こる不都合を、進化という視点から捉えなおすことで、さまざまな新しい発見をもたらしました。将来の治療法開発につながると期待が高まっています。
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コンピュータ・グラフィックス
~その仕組みと応用
中央大学理工学部 教授 牧野 光則
生活のシーンのいたるところで見ることができるCG(コンピュータ・グラフィックス)技術。もはや、それは現代人の生活に欠かせないものになっています。しかし、身近な存在であるCGが、そもそもどのような原理でできているのかを知っている人は少ないようです。今回は、第一線のCG研究者である中央大学の牧野先生に、CGの基礎をわかりやすく解説いただきました。一言でいえば、CGは「色のついた点の集合体」。問題はその色をどのように決めるかで、それにはいくつかの方法があります。講義の中では、代表的なCG手法である「レイトレーシング法」を取り上げ、CGがどのように描かれるかを探りました。なお、「どのよう『な』CGを描くか」は芸術の分野であり、ここでは「どのよう『に』CGを描くか」というCG技術にテーマを絞っています。
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タンパク質結晶化技術で世界を変える
~創薬から省エネまで
大阪大学工学部 教授 森 勇介
私たち人間と切っても切れない関係にある病気は、タンパク質の異状によって起こります。そのタンパク質にはまりこみ、サルグツワのように働くのが薬の役割。そして、薬が効くかどうかは、タンパク質にきちんと薬がはまり込むかで決まってきます。つまり、タンパク質の形や構造を知ることが、薬の開発ではとても大切になってくるのです。しかしながら、それはなかなか困難なことでした。というのも、構造を知るために必要なタンパク質の結晶化が容易ではなかったからです。森先生は、このタンパク質の結晶化において、とても重要な技術の開発・発見をしたのでした。
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携帯電話の不思議を探る
~伝わる仕組み、つながる仕組み
東北大学工学部 教授 安達 文幸
1人1台の時代に突入した携帯電話。「これがなくては生活できない」という人も多いことでしょう。しかし、当たり前の存在でありながら、この文明の利器は、多くの不思議に満ち溢れています。「どこにいても、なぜ会話をすることができるのか」「どうして、高速で移動してもつながるのか」「どうやってデータをやりとりしているのか」等々わからないことだらけ。これら携帯電話の謎に、日本を代表する研究者が迫ります――。