フロントランナー
ウインクだけで操作可能な車椅子を開発
生体信号処理技術で未来を切り拓く
慶應義塾大学理工学部 准教授 満倉 靖恵
「信号」と聞いて、みんなは何を想像するでしょう。道路にある信号? 普通はそうですが、慶應義塾大学の満倉先生が研究対象とする信号は、それとは少し意味合いが異なります。実は、私たちの周りには信号や信号の処理技術があふれている。たとえばリモコンを使ってテレビのチャンネルを変えるのも信号処理です。スマホのアプリを動かすのも同様。さらに、私たちの身体の中には微小ではあるが電気が流れていて、それらは生体信号と呼ばれています。満倉先生はその信号の技術を活かした画期的なシステムを次々と開発、それらはいま社会のさまざまな場面で活用されようとしています。
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暮らしを守り、未来の社会と地球を救う
環境に優しいバイオマスプラスチックス
大阪大学工学部 教授 宇山 浩
プラスチックは、私たちの生活に欠くことのできない素材といって間違いないでしょう。しかし、その大事な素材がいま危機にさらされていることをご存じでしょうか? プラスチックは石油から作られます。そして、石油の量は無限ではありません。それほど遠くない将来に、私のまわりからプラスチックが姿を消すかもしれない・・・・・・。大阪大学の宇山先生は、石油以外のものからプラスチックを作り出す研究の第一人者です。バイオマスをキーワードに、新しいプラスチックの開発に取り組んでいます。地球温暖化など私たちの将来にも大きくかかわってくる、バイオマスプラスチック研究の最前線を見ていきましょう。
フロントランナー(インタビュー・ムービー)
iPS細胞がわかる!
世界を驚かせた研究のいまと未来を探る
京都大学iPS細胞研究所
准教授 齊藤 博英
(この記事は動画でご覧いただけます。30min)
2012年、京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の研究でノーベル賞を受賞しました。世界を驚かせたiPS細胞はどこがすごいのでしょう。また、どのように医療を変えると期待されているのか。山中先生とともに研究の最前線に立つ齊藤准教授にiPS細胞の基礎知識から未来までをお聞きしました。iPS細胞の「入り口と出口」で重要な役割を果たす齊藤先生の研究も注目です!
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なぜ人は眠るのか、夢はなぜ見るのか
謎だらけの睡眠の正体に最新科学で迫る
金沢大学医薬保健学域医学類 教授 桜井 武
なぜ、私たちは眠るのか? 夢にはどんな意味があるのか? 一生の3分の1もの時間を費やすのに、睡眠に関してはわからないことばかりです。科学的な研究が始まって80年以上経ったいまでも謎だらけだ、といいます。どこまでわかって、何が謎のままなのか・・・・・・。睡眠と密接に関係している神経伝達物質「オレキシン」を発見し、“睡眠学”をリードする金沢大学の桜井武先生に「眠り」にまつわるさまざまな疑問に答えてもらいました。
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防災シミュレーションの第一人者
バーチャルリアリティによる減災を目指す
中央大学理工学部 教授 樫山 和男
樫山先生の所属する中央大学都市環境学科は以前「土木工学科」という名称だった。みんなは、土木工学と聞いてどんなイメージを抱くでしょう? いつも作業着で土や木、鋼(はがね)、コンクリートを相手に実験を進める――。たしかに、そういう部分もありますが、樫山先生の研究内容はずいぶん異なっています。扱うのは気象や地形、建物などのデータとコンピュータ。コンピュータを使ったシミュレーションで、快適で安全な街づくりに貢献しています。バーチャルリアリティ(仮想現実)も駆使する計算力学の最先端研究を、一緒に見てみていきましょう。