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右利きのヘビと左巻きのカタツムリ…
「右」と「左」から迫る生物進化の謎
京都大学白眉センター 特定助教 細 将貴
あなたは右利きですか? それとも、左利きですか? 多くの人は「私は右利きです」と答えることでしょう。日本に限らずどの国に行っても右利きの人が圧倒的多数を占めています。しかし、なぜ右利きが多いのか実はよくわかっていません。人間だけでなく動物にも右利き・左利きがよく見られますが、多くは謎のまま。「左右の非対称性」は生物進化の大きなテーマなのです。京都大学の細先生は、カタツムリとヘビの関係から、それに挑んでいます。先生と一緒にカタツムリとヘビが織り成す「進化のストーリー」を追ってみましょう。
「超教養講座」アーカイブ
花粉症は人の進化と文明の病
~ダーウィン医学にみる人間と病気の不思議な関係
北海道大学理学部 教授 栃内 新
花粉が舞い飛ぶ春を、憂鬱な気持ちで迎える人も多いことでしょう。いまや、日本人の3割以上の人が花粉症に悩まされているともいわれています。その花粉症、スギ花粉の増加など環境の変化が大きいのですが、人間の進化も大きくかかわっていることがわかってきました。私たちは進化の過程で免疫という優れた防御機能を身につけのですが、それが利きすぎた状態が花粉症なのです。ダーウィン医学は、こうした進化と病気の不思議な関係を探る学問。人の体に起こる不都合を、進化という視点から捉えなおすことで、さまざまな新しい発見をもたらしました。将来の治療法開発につながると期待が高まっています。
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江戸の科学技術は世界水準!
ものづくり日本の原点を見直そう
国立科学博物館 科学技術史グループ長
鈴木一義
かつて、日本の技術は「欧米のもの真似だ」と揶揄されていました。さらにいま、お家芸と呼ばれる産業が新興国の追い上げにあっています。自信をなくしつつある私たち日本人。しかし、その必要はまったくありません。なぜなら、日本の科学技術の底力にはすごいものがあるからです。とくに江戸時代は世界最先端に満ち溢れていました――。江戸のサイエンティスト・テクノロジストたちは、どんなすごいことを成し遂げ、どのようなものを生み出したのか。国立科学博物館の鈴木先生と一緒に見ていきましょう。
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世界最大の鳥・ダチョウがつくり出した
インフルエンザ・花粉症を撃退する“夢の抗体”
京都府立大学生命環境学部 教授 塚本 康浩
インフルエンザの季節がやってきました。しかし、そう遠くない将来、「インフルエンザが脅威ではなくなる日」が来るかもしれません――。京都府立大学の塚本教授は、ダチョウの卵でインフルエンザなどのウイルス抗体をつくる技術を開発。従来よりも効果的で格段に安くつくることができるそれは、「画期的な方法」として世界から注目を集めています。ウイルスにとどまらず花粉症やアトピー性皮膚炎などへの応用も始まりました。ダチョウの卵にどんな秘密があるのでしょう。「人類の救世主」がもつ驚くべきパワーに迫ります。
科学部探訪
研究内容は大学レベル!
権威ある国際科学イベントで特別賞を受賞
広島県立府中高校物理部
日本の将来を担う多くの科学少年・少女たちが、全国で活動しています。今回は広島県の県立府中高校を訪問。この春、同校の物理部の3年生と大学生のOBが、アメリカで実施された国際的な学生科学イベントに参加し、みごと特別賞を受賞しました。大学レベルの研究とプレゼンテーションに磨きをかけた成果。「自分たちの研究が日々進化しているのがわかるところが魅力」という物理部メンバーの活動を見ていきましょう。